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ALANET 社長ブログ

京都唯一のスーツメーカーの二代目社長の
ファッションと映画の今昔歴
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神田の羅紗屋
  前回のブログで書いた神田の話のつずきになりますが、旅館を世話して下さった方の話をしたいと思います。確か私より年は10歳ぐらい上だったと思います。
生粋の江戸っ子で、切符が良く、大変おしゃれな方でした。私が受験で、お世話になった頃、その方のお母さんが、まだ健在で、バリバリ仕事をされておりました。そのお母さんはまマアジャンや花札が好きで、営業時間が終わった頃、待ってたかのように店先の板の間に座布団を並べ、店の人や近所の店主たちとマアジャンや花札をされて遊んでおられるのを見て、京都とは違う江戸っ子のいきさみたいなものを感じました。
 いわゆる「羅紗や」と言う商売で、現在では、ほとんど見られず、あらかじめ全くの見込みで、舶来の生地を輸入業者から買い、、それを注文に従って1着1着切って売るというやり方です。そのため、「切り売りや」とも呼ばれていました。
 たくさんの生地を分かりやすく並べておくための、かなりの広い棚が必要です。それと注文に応じ反
物を棚から取り出しカットして販売するので、広い板の間が店先にあり、独特の雰囲気のある店でした。そして何人かおられた店の人は、みんなまるで西部劇の様に、はさみをピストルのように腰からさげておられ、かっこよかったです。
 今では考えられませんが、その頃背広を買うと言えば、ほとんどオーダーです。いわゆる「おあつらえ」です。そんなオーダー屋さんは少なくとも、今の10倍や20倍はあったと思います。
 もちろん既製品のセビロはありましたが、今の様にいろんなニーズ(価格、スタイル、年齢)に合ったものではありません。サイズもおおざっぱで、品質も良くなく、いわゆる「首つり」と呼ばれ、あまり評価されるものではなかったようです。古着が多く流通していた時代です。

 おしゃれに関心のある人、ちょっとお金に余裕のある人は、全てオーダースーツなのです。
きちんと採寸してもらい、仮縫いもあり、仕立上るまで1カ月は悠にかかります。そして、大抵の場合、一人の職人さんが1着丸ごと縫製されるのです。
 今のように、細分化された各パーツを流れ作業で、縫製するのとは全く異なり、当然コストも高くなります。
 もちろん、今でも、そういうオーダーはありますが、この半世紀ほどで大きく変化し、男のセビロと言うものの、ほとんどが既製品になったのです。それから、又変遷をたどり、既製品がだんだん飽きられて、今やパターンオーダー全盛です。しかし、同じオーダーでも今のパターンオーダーと昔のオーダーとは全く異なります。
 ですから、このような神田の羅紗屋さんと言う商売は今ではほとんど成立しません。その48年ほど前の神田には、こういった羅紗屋さんがたくさんありました。
一般的には神田と言えば、「本」で有名ですが、それは神保町のほうで、羅紗屋が多くあったのは岩本町や須田町です。

 次から次えと注文が入り、その都度、棚から反物を出して生地をカットされ、観ていても楽しいほど、手際よく作業され、カットされた生地に、お得意様の名前を書いた札を付け、キレイに折りたたんで、積んでゆかれるのです。

    たいへん繁盛していたのです。

舶来なんて言う言葉は今や死語です。
今は、柔らかくて、軽くしなやかな素材が喜ばれますが、その頃は、ガシッとした堅くて張りのある重い目の生地が良く売れていたようです。一般的に目付きの多い物が好まれていたようです。
仕上がったら、まるで鎧のようなセビロです。

神田にたくさん軒を並べていた、いわゆる羅紗屋は今や、ほとんどありません。オーダーを縫う職人さんも高齢化でどんどん減り、又既製品もどんどん単価が下がり、日本国内での縫製業と言う物が成り立たなくなり、中国へシフトして今やメイドインジャパンの紳士服は、おそらく全体の1割にも満たないと思います。

 私がお世話になったその神田の羅紗屋さんも平成10年5月に倒産されました。羽振りの良かった、その社長は、いわゆる「夜逃げ」され、行方不明です。

学生のころ、東京で、何かと面倒を見てもらい、よく食事もごちそうになり、その頃の恩返しをしたいと思っても、消息不明です。もしまだ生きておられたら75歳ぐらいです。

 ちょっと大げさかもしれませんが、私は死ぬまでに、もう一度その方に逢いたいですが、そんな機会がもしあっても、きっとその方は会ってくれないと思います。
昔商売が大変繁盛し、羽振り良かったひとが、おちぶれた姿を見せたくないだろうと思います。

     これもちょっと切ない話です。

































 



















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