2013.09.26 Thursday
不便益とラブレター
又、テレビの受け売りと言われそうですが、この「不便益」という耳慣れない言葉を先日知りました。何でも、京大の助教授をなさっている偉い先生が真剣に研究なさっているそうです。
不便のメリット? いったい何なんでしょう。
簡単に説明すると、今の世の中パソコンやスマホをはじめ自動販売機、コンビニと何もかもが便利な世の中で、多くの人はそれらになじみ、たいへん重宝されているのですが、あまりの便利さに慣れ過ぎて人間が本来持っている思考能力と記憶力がどんどん低下してきているらしいです。
誰もが常に電卓を使いますが、その電卓に頼り過ぎて暗算が出来なくなって来るようです。又この頃はほとんどの人が手紙をパソコンで文章を作成されるようですが、いざ自分がペンを持って書こうとすると、簡単な漢字が書けずヒヤットされるようです。
その京大の先生は余りに何もかもが便利な時代になって、その弊害が発生している事が大変不安に思われ、今までのアナログ的な生活に戻そうと実験なさっている、、、、というニュースを知りました。電気やガスまで使わないというのではありません
私は恥ずかしながらスマホは持っておりませんが、今の若い方(決して若い方ばかりではありません)は、一日中画面に向かって熱心にやっておられます。ベンチやいすに座って、いっしょう懸命やっているのならいいのですが、歩きながらでも、時には自転車に乗りながら、スマホを操作しているなんて、アブナイと言うよりもちょっと病的だと思います
又、この不便益と言う言葉を聞いてから、私は今の若い男女に情緒というか豊かな恋心と言うものが欠けているように思われてなりません。
いわゆる恋文です。 ラブレターです。
自分の気持ちを伝えるアナログ的な最たる手段です。
以前から、ひそかに心に秘めた思いを、何とかして相手に伝えたい、、、、その大切な役目を果たすのがラブレターです。
ナントカ想いを伝えたくて必至でいろんな文章を考え、書いては破り、書いては破り、また一から思い直し、これなら嫌みなく自分の考えが伝えられそうだ、、、と言う文章が出来たら今度は精神を集中して清書をします。それは、それは完成するまでには大変なエネルギーが必要になるのです。
その間も、ずーっと彼女の事を思いながら、こんな事を書いたら嫌われないかとか、ちゃんと読んでくれるだろうかとか、その作業をしている間は自分の持てる能力を最大限絞り出して一通の手紙を完成させるのです。
それはそれは大変な仕事です。
その出来上がった手紙に切手を貼りポストの所まで持って行くのですが、そこでも出そうか出すまいか、まだ迷うのです。こんな手紙を送って嫌われないだろうか?ちゃんと読んでくれるだろうか?
御両親に見つかり破り捨てられないだろうか?
そんな不安のどん底に陥れられるのです。
「ええい、、イチかバチかや!!!」
と思い切ってポストの中へ力強く放り込むのですが、ここまで来るのには、それは相当の覚悟が必要です。
そして投函してからの毎日が苦痛の日々となります。まだか、まだかと毎日ソワソワするのです。
中々そう簡単には返事は来ません。もちろん出す前から、それは覚悟してはいるのですが、毎日、毎日自宅のポストを何回も何回も確認しに行くのです。
それが高じて郵便局の配達人がだんだん憎たらしくなってきます。中々返事が来ないのは、まるで郵便局の配達人が悪いと思う様になってきます。
全くの逆恨みです。
一日中ソワソワして、来る日も来る日もポストを眺めため息をつきます。
こうして、ずうっと待っていて、もし返事が来なかったらどうしよう!!!
もう奈落の底に突き落とされた気分の毎日です。
およそ一月ほどして彼女から一通の返事がくるのです。もう、それを受け取った時の気分は最高です。
天にも昇る思いです。
投函してから今までの長い間、その悶々とした気持ちは、まるで嘘のように一瞬にして晴れ渡るのです。その手紙に何が書いてあるのか?そんな事よりもとりあえず返事を書いてくれた、その気持ちだけで有頂天になって、中々封を開けられません。
ピンク色でキレイな花柄をあしらった封筒です。
なんて可愛いのでしょう。
ハサミで封を開けようとするのですが、又ひと時思いとどまり、もう一度眺めそんな事を何回か繰り返しながら、思い切って封筒にはさみを入れる時のドキドキ感は何とも言えないスリルです。
そして、そろっと中に入っている一枚の紙を取り出します。
可愛らしいピンクに花柄の封筒と同じ便箋に何か書かれています。まるで合格の通知書か就職の採用の書類か、、そんな重要書類を開封するときの気持ちと全く同じです。
OOOくん
お手紙ありがとう。
貴方から、突然お手紙頂いてびっくりしました。
家も近いし、いつも学校でもあっているのに、、、、
しかし、手紙っていいものですね!
面と向かって、言えない事でも、手紙なら書けますね。
これから文通しましょう。
OOOより
たったそれだけの文章なのに、もう天にも昇るような思いです。また、たったそれだけの文章を何回も何回も読み返すのです。
その日は一日中その満足感にどっぷりと浸って大変気分がよく、何を言われても何をされても腹が立ちません。
恋文って、本当にいいものですね。
ところが、今やパソコンや携帯のメールでのやり取りです。そこには、何とも言えない切ない思いや情緒や嬉しさは全くありません。一瞬で終わりです。
こんな不便でこんなにアナログな媒体に素晴らしい物が、潜んでいるという事を実感して頂きたいのです。
私は、きっとそれが不便益だと解釈しました。
不便のメリット? いったい何なんでしょう。
簡単に説明すると、今の世の中パソコンやスマホをはじめ自動販売機、コンビニと何もかもが便利な世の中で、多くの人はそれらになじみ、たいへん重宝されているのですが、あまりの便利さに慣れ過ぎて人間が本来持っている思考能力と記憶力がどんどん低下してきているらしいです。
誰もが常に電卓を使いますが、その電卓に頼り過ぎて暗算が出来なくなって来るようです。又この頃はほとんどの人が手紙をパソコンで文章を作成されるようですが、いざ自分がペンを持って書こうとすると、簡単な漢字が書けずヒヤットされるようです。
その京大の先生は余りに何もかもが便利な時代になって、その弊害が発生している事が大変不安に思われ、今までのアナログ的な生活に戻そうと実験なさっている、、、、というニュースを知りました。電気やガスまで使わないというのではありません
私は恥ずかしながらスマホは持っておりませんが、今の若い方(決して若い方ばかりではありません)は、一日中画面に向かって熱心にやっておられます。ベンチやいすに座って、いっしょう懸命やっているのならいいのですが、歩きながらでも、時には自転車に乗りながら、スマホを操作しているなんて、アブナイと言うよりもちょっと病的だと思います
又、この不便益と言う言葉を聞いてから、私は今の若い男女に情緒というか豊かな恋心と言うものが欠けているように思われてなりません。
いわゆる恋文です。 ラブレターです。
自分の気持ちを伝えるアナログ的な最たる手段です。
以前から、ひそかに心に秘めた思いを、何とかして相手に伝えたい、、、、その大切な役目を果たすのがラブレターです。
ナントカ想いを伝えたくて必至でいろんな文章を考え、書いては破り、書いては破り、また一から思い直し、これなら嫌みなく自分の考えが伝えられそうだ、、、と言う文章が出来たら今度は精神を集中して清書をします。それは、それは完成するまでには大変なエネルギーが必要になるのです。
その間も、ずーっと彼女の事を思いながら、こんな事を書いたら嫌われないかとか、ちゃんと読んでくれるだろうかとか、その作業をしている間は自分の持てる能力を最大限絞り出して一通の手紙を完成させるのです。
それはそれは大変な仕事です。
その出来上がった手紙に切手を貼りポストの所まで持って行くのですが、そこでも出そうか出すまいか、まだ迷うのです。こんな手紙を送って嫌われないだろうか?ちゃんと読んでくれるだろうか?
御両親に見つかり破り捨てられないだろうか?
そんな不安のどん底に陥れられるのです。
「ええい、、イチかバチかや!!!」
と思い切ってポストの中へ力強く放り込むのですが、ここまで来るのには、それは相当の覚悟が必要です。
そして投函してからの毎日が苦痛の日々となります。まだか、まだかと毎日ソワソワするのです。
中々そう簡単には返事は来ません。もちろん出す前から、それは覚悟してはいるのですが、毎日、毎日自宅のポストを何回も何回も確認しに行くのです。
それが高じて郵便局の配達人がだんだん憎たらしくなってきます。中々返事が来ないのは、まるで郵便局の配達人が悪いと思う様になってきます。
全くの逆恨みです。
一日中ソワソワして、来る日も来る日もポストを眺めため息をつきます。
こうして、ずうっと待っていて、もし返事が来なかったらどうしよう!!!
もう奈落の底に突き落とされた気分の毎日です。
およそ一月ほどして彼女から一通の返事がくるのです。もう、それを受け取った時の気分は最高です。
天にも昇る思いです。
投函してから今までの長い間、その悶々とした気持ちは、まるで嘘のように一瞬にして晴れ渡るのです。その手紙に何が書いてあるのか?そんな事よりもとりあえず返事を書いてくれた、その気持ちだけで有頂天になって、中々封を開けられません。
ピンク色でキレイな花柄をあしらった封筒です。
なんて可愛いのでしょう。
ハサミで封を開けようとするのですが、又ひと時思いとどまり、もう一度眺めそんな事を何回か繰り返しながら、思い切って封筒にはさみを入れる時のドキドキ感は何とも言えないスリルです。
そして、そろっと中に入っている一枚の紙を取り出します。
可愛らしいピンクに花柄の封筒と同じ便箋に何か書かれています。まるで合格の通知書か就職の採用の書類か、、そんな重要書類を開封するときの気持ちと全く同じです。
OOOくん
お手紙ありがとう。
貴方から、突然お手紙頂いてびっくりしました。
家も近いし、いつも学校でもあっているのに、、、、
しかし、手紙っていいものですね!
面と向かって、言えない事でも、手紙なら書けますね。
これから文通しましょう。
OOOより
たったそれだけの文章なのに、もう天にも昇るような思いです。また、たったそれだけの文章を何回も何回も読み返すのです。
その日は一日中その満足感にどっぷりと浸って大変気分がよく、何を言われても何をされても腹が立ちません。
恋文って、本当にいいものですね。
ところが、今やパソコンや携帯のメールでのやり取りです。そこには、何とも言えない切ない思いや情緒や嬉しさは全くありません。一瞬で終わりです。
こんな不便でこんなにアナログな媒体に素晴らしい物が、潜んでいるという事を実感して頂きたいのです。
私は、きっとそれが不便益だと解釈しました。