他人から見ると別になんでもない話なのですが、この一年は私の70年の人生にとって数少ない大きなターニングポイントとなる出来事がありました。それゆえ、時間はイクラでもあったのですが、ゆっくり集中してブログを書く心のゆとりがありませんでした。
それと、長年共に歩んできた弟を三年前になくし心にぽっかりと穴が開いて何をするにしても気合が入らない状態でした。
まあ、なんとか日常の業務は支障なくやってまいりましたが、数年前から抱えている難病のミトコンドリア病が以前よりも悪化し最近では殆んど歩けない状態です。歩けないと言うことは本当に不自由です。幸いなことに内臓や脳や心臓には異常なく、足が動かないということ以外は健康です。
以前から、どちらかというと行動派の方で、あれもしたい、これもしたいと思う行動範囲が大幅に狭められます。立っているのがやっとの状態で、杖を突いて数歩歩くと、もうフラフラです。そんな状態なので、直ぐ疲れてしまい根気や粘りが失われます。多田、救われるのは命には別条が無いということですが、いくら小さな会社と言えども、こんな状態でいつまでも社長が務まるわけがありません。まして、我々の商売はアパレル業です。つまり、男をかっこよく、オシャレにさせるための服をつくる仕事なのに、足の悪い老人が店の中をウロウロしているなんてイメージダウンもはなはだしい限りです。何度も言うようですが、いくらわが社のような小さな会社と言えども、その長たる者は心身ともに健康でないと、うまくいくはずがありません。まして、今はとても厳しい状況です。昔のように、「頑張ったら、何とかなる」というような社会状況ではありません。
顔には、出しませんが、いつも危機感を感じ落ち着かない状態でした。決して人には言えませんが、
「ああ、ぼちぼち潮時かなあ」と心の隅で思うようになりました。
そんな頃、私の様子を何時もそばで見ていた息子が哀れに思ったのか、社長交代を了解してくれました。そこで、めでたく昨年の八月に三代目が誕生いたしました。あとを継いでくれるということは、本当にありがたいことです。世間では、我々のような、小さな家業で、跡継ぎが無く困っておられる話をよく聴きます。それと、たとえ息子や娘であっても、その家業の仕事内容が好きでないと勤まりません。仕事だからとか、仕方なくとか、やらなくてはならないからとか、では絶対に続きません。この仕事が好きで、天職と思えるか、、、そこがとても重要なのです。
それから、ちょうど一年が経過しましたが、この一年は今までに無い違った苦労がドンドン発生し、実際に仕事は何もしていないのですが、常に気持が落ち着かない状態でした。全て、自分がやらないときがすまない性格で、なんでもかんでも、自分がやってきました。今までずうっとそういう生活でしたのに、たとえそれが息子と言えども人に任せていくと言うことが別の意味で大変なことやなあと、改めて思いました。
大きい方向性は、たとえ同じでも、任せた以上、決して、いちいち小さなことで口出ししてはあかんと心に念じながらも、ついつい気になって言ってしまうものです。そのような、モヤモヤした心をコントロールすることが精一杯で何かしら落ち着かない一年でした。両手両足を縛られて、さらに、口をふさがられたような1年でした。
親の私が言うのも、おかしな話ですがなんとか彼なりによく頑張っていると思います。
親ばかですね。
親父がもし生きていたら、きっと泣いて喜んだと思います。アラネットが七十年続いて、しかも三代目が誕生したのですから、、
(ところが成績がよくありません)
生前、親父が私によく言っていました。「お前みたいなもんが、やったら会社は1年も、もたんは、、」と、今思うと、その時おやじは口ではそういっていたのですが、きっと心では、あとを継いでくれたということを喜んでいたと思います。今の私の思いと、そのときの親父の私に対する思いを重ね合わせて考えると、あの言葉は私に対するエールだったのでしょう。親父の教育法は私にいつもボロクソに言い、さんざんムカつかせ、そこからやる気を起こさせると言う、いわゆるスパルタ教育でしたので決して甘い言葉を言いませんでした。しかし、ふっとしたときに見せるあの親父の笑顔は決して忘れてはおりません。
きっとこのブログを読んでくださっている皆様は、わづか数人の家業でたかが息子に譲っただけの話やないかとお思いでしょうが、そこには、私なりに秘めた喜びと、大丈夫やろかという不安が入り混じり、なんとも心が揺れた1年だったのです。
書いていて恥ずかしいほどの長い言い訳でした。
それともうひとつ、私にとってとても大きな仕事を、この1年でやりました。それは本業であるアラネットとは別に私個人の不動産賃貸業を法人化し、アラネットが紳士服と不動産業を両方するという形態に変えました。金融の問題、税制の問題、と色んな困難がありましたが、銀行の方と税理士さんとで散々やり取りして、今年の7月でやっと登記が完了して、やれやれといったところです。ちょっとこのブログでは詳しいところまでは書けないのですが、長年描いてきた私の計画がやっとの思いで完了いたしました。これをもちまして、私の仕事はもう殆んどありません。いずれにせよ、全ての責任は死ぬまで免れませんが、私としての日常の業務からは解放されます。これでやっと代替わりが出来たということを、ひしひしと感じ、何かほのかに達成感を感じました。
後は、息子が頑張るだけです。
ありがたいことに、アラネットを今まで支えてきてくれた社員がおり、息子が少々ふらついても、きっとみんなが軌道修正してくれるでしょう。これで、めでたく私は用なし人間になれたわけです。
さあ、これから何をしましょう。足が動かなくても出来ることはいくらでもあります。今までとは違う喜びや生きがいを探していこうと思っています。
追伸
また、息子に怒られそうです。「話しがくどい」と、、、、
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本を読みかけても老眼が始まっており目がチカチカして直ぐにいやになります。又、昼のテレヴィを見ても何も面白くありません。そんな時、唯一頼りになるのがペペです。私が抱えているやっかいなミトコンドリア病で足がだるくて仕方ないとき、私を励ましてくれるのがぺぺです。ペペがいてくれるお陰で毎日の生活に活力が生まれます。
もうすっかり家族の一員なのです。
二年前、彼との劇的な出会い以降、病気もせず、すくすく育ってくれて今や我が家はペペなくしては考えられません。今回は可愛いペペについて書きたいと思います。
とりあえず彼は素直でやさしい、いい子です。
ペペは自分なりに一日の行動が決まっており、朝六時過ぎると「はよ起きろ!」と言わんばかりに吠えまくります。それが不思議と毎朝ほぼ同じ時間なのです。まるで腕時計をしているのではないかと思うほど時間が正確なのです。まだ眠たいのに、仕方なく起きて庭に出してやります。すると、おしっこをして直ぐに戻ってきます。それと、ご飯の時間もそうです。子犬の頃と違って成犬になってからは朝晩2回です。可愛そうですがペペのためと思い肥満防止のためドッグフードしかやっていませんが、ちゃんと時間どうりに催促します。そのほかは、ほとんど昼間は寝ているのです。私が家にいる時間は一人用ソファーの背もたれを、うんと後ろまで下げ、オットマンに足を出して座っているのですが、私のお腹の上でずーっと寝ています。時には、イビキさえかいているときがあり、何時も家内と言っているのですが本当に気楽な犬です。ところが、人がきたり、宅配のトラックが家ノ前に止まったら「さあ仕事や!」と言わんばかりに飛び起きて玄関のほうへ走っていくのです。びっくりします。人間なら気持ちよく昼寝をしていて急に起こされたら大変不機嫌になるのですが彼は人が感じないほどの車や人の足音で一気に仕事モードになるのです。まるで、家のセキュリテイはわしに任せておけといわんばかりです。
彼のもう一つえらいと思うことがあります。岩倉と言う辺鄙な場所と、人付き合いの悪さから、めったに来客はありませんが、一度来たひとは必ず覚えているのです。一般的に犬好きの人は、上手に犬をあやし自然にアプローチされますが、犬嫌いの人は犬から離れようとされます。すると、犬は余計に近づいて吠えます。
先日、久しぶりに、私の友人が来ました。其の友人はどうやらあまり犬好きではないらしく彼が家にいる10分か15分の間ずっと吠えていました。そして数週間して再び彼が来たときは、しっぽをふって喜んでいるのです。ぺぺはきっと「この人は主人の友達や」と認識したのでしょう。其のときのペペの誇らしげな顔に私は大変満足でした。それだけではありません。ぺぺは人の心が良く分かるのです。我が家は私と家内とぺぺの三人暮らしです。彼は、われわれの1日の行動を把握しており、平日の通常の出勤の日は朝からキビキビした行動をとりますが、休みの日は、それなりにリラックスしているのです。まるで、曜日まで分かっているのでは、、、と思うほどです。
ぺぺは2014年5月生まれのミニチュアダックスの男の子です。毛色は狐色で、短い短い毛のスムースという犬種で、目と鼻だけが真っ黒で大変、端正な顔立ちをしています。
たいへん男前です。
ダックス特有の体型で、やたら胴が長く手足が太く短いです。この種の犬は体臭があると一般的に言われていますがぺぺは全然においません。しかし、われわれ以外の第三者が家に入ってこられたら、やっぱり犬くさいと思われるでしょうね。きっと、われわれは麻痺しているので、それが分からないのでしょう。
前にいた、「ナナ」は小さいくせに大変えらそうで短気な犬でいた。それは子犬のころ、甘やかしすぎたんだと思います。そいいう教訓もありぺぺには小さい頃から、なるべく厳しく育てたつもりですが、人から見るときっと甘いと思います。いや、むしろ溺愛かもしれません。
元々彼は大変やさしく温厚でおおらかな性格で人に必要以上に吠えたり、ましてや絶対に噛んだりはしません。それと、ものすごくキレイ好きなのです。まるでネコのように手や足を舐めて、きれいにするのです。家ノ前に小さな庭があるのですが、めったに庭で遊ぶと言うことをしないのです。実は初めは不思議でした。たいていの犬は庭が好きです。そして、たとえ小さな庭でも土や芝生の上を走り回ったり穴を掘ったりしたがると思うのですが、彼はめったに庭には出ません。晴れて土が乾いたときに、ちょっとだけ日光浴をするために、出ることはあるのですが、ほとんど居間のソファーの上で寝ているかテレビをみて過ごしています。
何で庭に出ないんだろうかと思っていたら、だんだんそれが分かってきたのです。それは、足が汚れるからなのです。足の裏が汚れることをすごく嫌がるのです。
なんと、犬らしくない犬でしょう。
それと、犬好きの家庭でよくあるアホな話しをもう一つ紹介しましょう。それは、まるで相手が人間であるかのように犬に話しかけることです。うちの家庭も例外に漏れずぺぺといつも対話をしています。朝、起きたら私も家内もいつもぺぺに言います。
「よう寝られたか?」
それと御飯前には必ず「ご飯にするか?」とぺぺに言います。ぺぺは、其の一言で「早くしてくれ!」と言わんばかりに、うるさくはしゃぎます。先に書いたように肥満防止にドッグフードの量を極力控えているため、あっという間に食べてしまいます。何時もお腹を減らしているみたいで、なんかかわそうな気がするのですが心を鬼にして量を制限しています。お出かけは、月に一回、美容院(ペットサロン)に行きますが帰ってきたら必ずたずねます。
「今日は、どうやった?」 「疲れてへんか?」
そして、ペペは常にわれわれ2人の顔色を伺っています。何もなく、平穏で穏やかなときは、それなりにソファーの上で寝ていますが、二人が些細なことで口げんかをしたりしますと顔色を変えて飛んできます。そして、、
「そのへんにしとけ!」と、言わんばかりに仲裁にはいります。
われわれも、ペペの顔を立てて言い争いをやめます。そんなぺぺは、いまやわれわれにとってなくてはならない存在なのです。ぺぺはまだ若いですが犬の平均寿命は短いです。小型犬は12〜15年ぐらいですから、それから考えると、われわれが先かぺぺが先か微妙な年齢です。とりあえず、ずっと健康で長生きしてくれることを祈っています。
彼はほんとうに、えらいです。
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